独立行政法人国立病院機構 下志津病院 千葉県四街道市鹿渡934-5

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脳神経外科

外来診療担当

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丹野 石毛/丹野 深谷 丹野 深谷

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下志津病院の脳神経外科の役割

地域医療の充実

 平成26年7月に石毛院長が当院の院長に就任され、脳神経外科外来が新設されて、外来診療を少しづつ拡大してきました。そして、切れ目のない脳神経外科診療が継続できるようにと、平成27年4月に地域医療部長として私、深谷が赴任することになりました。
 脳神経外科の皆さんが考えている手術を中心とする治療ではなく、高齢化社会でもっとも必要性の高い、手術の必要ではない脳出血、脳梗塞を中心に、加療、リハビリテーション、退院後の在宅療養、施設入所を包括的に行える施設体制を構築するという意味で、私が地域医療部長として赴任してきたものと考えています。また平成27年8月開設の地域包括ケア病床では、当院の急性期加療後の患者さんだけでなく、他院での急性期加療の終了した患者さんで、回復期リハビリテーション病院へ転院するほどではないが、自宅への退院には自信や体力や病状の安定感に自信がない患者さんを、四街道及び周辺の自宅や、介護施設へ移す中間病院として、医師、看護師、ソーシャルワーカーが協力して加療を継続していく方針です。
 これから始まる、四街道の地域医療に少しでも貢献できればと考えている脳神経外科を宜しくお願いします。

医師紹介

  • 丹野先生

    丹野 裕和(たんの ひろかず)

    職 名
    脳神経外科医師・地域包括ケア支援センター長
    認定医等
    日本脳神経外科学会認定専門医・指導医
    日本脳卒中学会会員
    身体障害者福祉法指定医
    臨床研修指導医
    難病の疾患に対する医療などの関する法律に係る指定医
    専門分野
    脳神経外科(一般)
  • 深谷先生

    深谷 展行(ふかや ひろゆき)

    職 名
    脳神経外科医師・産業医
    認定医等
    日本脳神経外科学会専門医
    労働衛生コンサルタント
    専門分野
    脳神経外科(一般)
  • 石毛院長

    石毛 尚起(いしげ なおき)

    職 名
    脳神経外科医師・名誉院長
    専門分野
    脳神経外科(一般)

当科の担当する疾患と症状

頭痛:最も一般的な症状

  • 緊張性頭痛

  • 頭や頚部の筋肉のこりから来る頭痛です。同じ姿勢をとることが多い仕事の方や肩こり症の方に多く、マッサージや体操も有効です。しかし最近頚部の過進展で、頚椎や、頚部の血管が損傷する報告もあり、過激なものはお勧めしません。

  • 血管性頭痛、群発頭痛

  • いわゆる片頭痛です。特効薬ができましたが、生活上の注意で症状を軽くします。家族歴があったり、季節性が認められることもあります。
    また、本当にひどい血管性頭痛の人は、予防薬の投与が必要な人もいます。
    後頭神経痛:強い痛みが周期的に片方の後頭部(多くは耳の後ろ)に起こるもので、痛みのお休みの時間があるのが特徴的です。

症候性の頭痛

  • くも膜下出血

  • 一番怖い頭痛。脳の血管のコブ(脳動脈瘤)の破裂でおこり、一回目の出血で3~4割の方が手遅れになります。24時間以内の再出血が最も多く、意識がある状態で病院にたどり着いた方の最終的な予後を少しでも良くするのが脳神経外科の使命です。風邪による頭痛とくも膜下出血による頭痛を区別するためには頭部CTの撮影が必要になります。

    図1 図2

    くも膜下出血が疑われる場合には3D-CTA 又はMRA,3D-MRAが必要となります。

    図3 図4 図5

    当院の方針ではくも膜下出血は周辺の脳神経外科を紹介することになります。

  • 脳腫瘍

  • 成長の遅い良性のものから悪性のものまで様々あります。手術以外の専門的な治療を必要とするものも多くあります。また症状も頭痛だけではなく、いろいろな症状が出ることが多いものです。専門的な治療が可能な各施設と連携し、ベストな結果をめざしています。
  • 慢性硬膜下血腫

  • 事故や転倒で頭部を打撲した後、1ケ月から3ケ月位経過してから脳と頭蓋骨の間に血液がたまる病気です。診断がつけば簡単な手術で良くなりますが、手遅れになると命にかかわる病気です。

    図7

    慢性硬膜下血腫も他院を紹介します。手術ですぐに良くなった患者さんはすぐに退院できますが、回復に時間がかかる場合には、当院に再入院してリハビリテーションを行うことがあります。

  • 解離性動脈瘤

  • 脳動脈の壁の解離(はがれること)によりくも膜下出血や脳梗塞の原因になります。頭痛以外の神経症状も伴います。多くは動脈硬化が原因です。
    (言語障害、手足のしびれや麻庫など)

    解離性動脈瘤では症状により他院にお願いするか、当院で加療するかの二つの方法があります。

  • 脳梗塞

  • 最も多いのは細い血管がつまったことによるラクナ梗塞で、高血圧症や糖尿病が原因です。MRIですぐに部位や範囲の診断ができます。

    図8

    太い血管が閉塞して4時間半以内の発症の場合には、静脈性血栓溶解療法が必要なことがあります。この場合にはアルテプラーゼの静脈注射を当院で行ってから、他院で動脈性の血栓除去が必要かを決めるために、他院に転送となります。他院での症状が安定したら、必要なら当院に戻ってリハビリテーションを行うかとができます。

    図9 図10
  • 脳内出血

  • CTやMRIで診断がつきます。急性期は悪くなることが多く注意が必要です。出血した量や場所によって予後が決まります。出血量が多ければ他院に転院して手術を行うことがあります。
    また出血の増大が急速に起こる場合には、対症療法だけで手術ができない患者さんも存在します。

    図11

頭部外傷

頭の外に出血したから大丈夫というのは迷信です。打った直後は症状が軽くても脳内出血があれば急激に悪くなることがあります。一般的には受傷後6時間ぐらいは厳重な観察が必要です。本人はわからなくなってしまうので家族の方の注意が大切です。

図12 図13

顔面の周期的な痛みやぴくつき

  • 三叉神経痛

  • 顔の知覚神経が脳の中で圧迫されることによっておこり、洗顔や歯磨きもできなくなるほどの激痛が片側の顔面におこります。

  • 顔面痙拳、眼瞼痙撃

  • 片側の眼の周りや顔の筋肉の痙単です。軽いものは疲労などでもおこりますが、薬物療法や皮下注射、手術があります。
    当科でも 頭蓋内疾患の除外後に 希望者にボトックス療法を行なっています。

てんかん発作や痙皐発作

原因は様々です。症候性のものを検査で見つけることと発作の抑制が大切です。

無症候性血管障害:症状がなくても検査で見つかる異常

  • 未破裂脳動脈瘤

  • 現在の検査法では1ミリ位の大きさのものからみつかりますが、多くの場合はサイズが小さいので経過をみることになります。4ミリ以上のものや多発性のものなどは、破裂しやすいため年齢を考慮して治療が必要になります。

    図14
  • 無症候性脳梗塞

  • 高血圧症などの基礎疾患の治療が優先になります。
    頚部内頚動脈狭窄:70%以上の狭窄や潰瘍形成がある場合や脳虚血発作を繰り返す場合には治療が必要です。治療法も進歩しています。

視野障害、複視など

眼科的な原因がはっきりしない場合、時に脳に原因があることがあります。

めまいなど

良性発作性頭位変換性眼振(りょうせいほっさせいとういへんかんせいがんしん:いわゆる良性めまい)は、頭を動かすとおこる回転性のめまいです。じっとしていると30秒以上持続しないという特徴があります。めまいの持続時間が長い時は、良性めまいではなく小脳や脳幹部の異常を疑います。